母の思い
母娘、といえど、人間対人間。
母親だって、母親になる前の「おんな」としての人生が
あり、いろんな思いを抱いた、一人の人間であることに、
変わりはない。
親子の相性は、少なからずあって、小顔工房にも、
時々親子で(大抵お母さんは付き添い)でいらっしゃる方も
いますが、いろんな親子関係があるな、とつくづく思います。
母親、というのは、自分の子供に対して、「産んだ責任」と
いうものを、男親よりも強く感じているのではないか、と
思うときがあります。
母性、というものではなく、「責任」。
誰もが振り向くような美貌とスタイルの子供に産んで
あげられれば、親としても、この上なく喜ばしいこと
だけれど、遺伝や環境で、こればかりは思い通りには
いかないもの。
それが娘に対しては、我が子へのかわいさと、
自分がそう産んでしまった事への責任と後悔、
そして女同士であるからこそ分る不憫さ、
そんな思いがないまぜになって、複雑な親子関係に
なってしまっている、ということが、少なからずあるようです。
その方が小顔工房にいらした時は,確か27歳前後。
女性が一番美しいと言われる年代だったと記憶しています。
その方の名誉のために言っておきますが、第3者から見て、
決して「醜い」と思う容貌ではありません。
それなのに、お母さんから、顔をあわせるたびに
顔の欠点を言われ、でもそれは、自分の責任でも、
自分でどうにかできるものでもない。
ましてや、本来なら最大の味方であってくれるはずの
母親から、傷つく言葉を浴びせかけられる毎日は、
精神的にまいってしまうことから、かなり深刻に傷つき、
悩んだ末、小顔工房にいらっしゃいました。
施術を受けながら、いろんな気持ちも吐き出し、
結果にご自分でも満足され、お帰りになられましたが、
家に帰って、真っ先に気付いてくれて、自分のことのように
嬉しがり、褒めてくれたのは、毎日自分に対し、
文句ばかり言っていたお母さんだったそうです。
そして、そこで語られたお母さんの本当の気持ち・・・・
「自分が、そんな容姿にしか産んであげられなくて、
それが辛くて、どうにかならないものか・・・
いつもそう思ってばかりいた」
私の筆では、表現が上手く出来ないけれど、お母さんは、
娘のことがかわいくて、もっときれいになって欲しくて、
でも自分ではどうしてあげることも出来ない、そう産んでしまった
自分への後悔と責めの気持ち、自分が持っているコンプレックスから
来る、同じ女性としての不憫さ・・・そういった複雑な気持ちが
素直に表現が出来なかったのではないでしょうか。
お母さんの本当の気持ちが分ったその後は、わだかまりもとけ、
母娘関係も随分良くなったそうです。
あれから数年経っていますが、今どうしているかは、
わかりません。お母さんとの関係が今も良好であることを
祈るばかりですが、心配はないでしょう。
お互いに、1人の人間同士として向き合えたのですから。
表には出ない、人間の心の内、というのは、本当に
複雑で、表し方もまたさまざま。
小顔工房にいると、そんな場面にたくさん出会います。
人と向き合う、というのは、そのことも理解して
受け止めていかなければなりません。
それが面白さでもあり、何よりも大変な部分だと、思わされた
忘れがたいエピソードでした。
produce by 小顔工房